<シー・シェパード>船長を捕鯨妨害で起訴 東京地検(毎日新聞)
反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」メンバーが日本の調査捕鯨船の監視船に侵入したとして逮捕された事件で、東京地検は2日、抗議船「アディ・ギル号」船長だった活動家、ピーター・べスーン容疑者(44)=ニュージーランド国籍=を艦船侵入や傷害など五つの罪で起訴した。数年前から繰り返されてきたSS側の過激な妨害行為が、日本の法廷で初めて裁かれることになった。
SS側は日本側の対応を批判している。東京地検の大鶴基成次席検事は「医師も病院もない洋上での非常に悪質で危険な行為で処罰は当然。捕鯨問題とは関係ない」と述べた。
起訴状によると、ベスーン被告は2月11日午後11時ごろ、南極海上で氏名不詳者と共謀し、小型ボートからロケット砲に似た装置を使って酪酸入りのガラス瓶を発射。監視船「第2昭南丸」の船体で破裂させ、異臭のする酪酸を飛散させるなど業務を妨害し、男性船員(24)の顔に全治約1週間のやけどを負わせた。同月15日午前7時半ごろには水上バイクで同船に接近し、防護ネットを刃渡り19センチのナイフで破り船内に侵入したとされる。
事件直後に赤松広隆農相が「司法手続きにのっとった形できちんと始末する」と発言したことなどから、検察内部には「政治的捜査」と批判されたり法廷が反捕鯨のPRに利用されることを懸念し、起訴に慎重な意見もあった。だが、逮捕後に国際世論の反発が高まることはなく、ある幹部は「淡々と処分を決められた」と述べた。【大場弘行、三木幸治、鈴木一生】
◇「弱腰」批判回避
SSを巡っては08年、日本の調査捕鯨船に同乗していた海上保安官が、乗り込んできたSS活動家2人を拘束したものの、政府は2日後に洋上で豪政府側に引き渡し、「弱腰」と批判された。今回は官房長官が中心となって調整し、日本移送の対応をまとめた。ただし、ある海保幹部は「日本の裁判で調査捕鯨の不当性を主張するために乗り込んだのは明らかで、手を出すのは相手の思うつぼだと思った」と振り返る。
移送の間、ベスーン被告は船内で破壊活動をする恐れもあったため、「船舶に危害を及ぼす行為をしようとする者に必要な処置をできる」と定めた船員法26条に基づき、第2昭南丸船長の判断で身柄を「保護」。日本帰港後に海上保安官が逮捕する手順をとった。
海保は今後も調査捕鯨への違法行為を取り締まることになるが、09年は安全を最優先する海保側と、調査捕鯨を最優先する捕鯨船側とで航行場所などの意見が折り合わず、海上保安官の捕鯨船同乗を見送った。今後、改めて同乗を求められる可能性がある。
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起訴状によると、ベスーン被告は2月11日午後11時ごろ、南極海上で氏名不詳者と共謀し、小型ボートからロケット砲に似た装置を使って酪酸入りのガラス瓶を発射。監視船「第2昭南丸」の船体で破裂させ、異臭のする酪酸を飛散させるなど業務を妨害し、男性船員(24)の顔に全治約1週間のやけどを負わせた。同月15日午前7時半ごろには水上バイクで同船に接近し、防護ネットを刃渡り19センチのナイフで破り船内に侵入したとされる。
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SSを巡っては08年、日本の調査捕鯨船に同乗していた海上保安官が、乗り込んできたSS活動家2人を拘束したものの、政府は2日後に洋上で豪政府側に引き渡し、「弱腰」と批判された。今回は官房長官が中心となって調整し、日本移送の対応をまとめた。ただし、ある海保幹部は「日本の裁判で調査捕鯨の不当性を主張するために乗り込んだのは明らかで、手を出すのは相手の思うつぼだと思った」と振り返る。
移送の間、ベスーン被告は船内で破壊活動をする恐れもあったため、「船舶に危害を及ぼす行為をしようとする者に必要な処置をできる」と定めた船員法26条に基づき、第2昭南丸船長の判断で身柄を「保護」。日本帰港後に海上保安官が逮捕する手順をとった。
海保は今後も調査捕鯨への違法行為を取り締まることになるが、09年は安全を最優先する海保側と、調査捕鯨を最優先する捕鯨船側とで航行場所などの意見が折り合わず、海上保安官の捕鯨船同乗を見送った。今後、改めて同乗を求められる可能性がある。
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2010-04-07 10:49
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